『くりやのくりごと』~リンボウ先生 家事を論ず
リンボウ先生こと、林望さん著のエッセイ集です。
リンボウ先生の名前を初めて知ったのは、他でもない椎名誠さん率いる
「あやしい探検隊」シリーズの中からでした。
色んな肩書きを持つおとっつぁん達が、海に山に川に遊びに行き飲んで騒ぐ、というものなのですが、リンボウ先生は作家でありながら、探検隊の中の名料理人でもありました。
とにかく、椎名氏が手放しで褒めちぎっていた「チャーハン」に
読みながらも何度も生唾を飲み込んだものです。
で、本書です。
「くりや」とは台所のことだそうですね。
その台所を含めた家事全般に対して、このリンボウ大先生が
様々に憤慨し・恫喝し・指針を示しています。
「オレンジページ」や「主婦の友」や「クロワッサン」でも
家事ネタは満載ですが、出てくる有名人にしても読者モデル
にしても、非常に楽しそうです。「こうすればラク!トク!」
とばかりに小ワザを紹介しています。
私も好きでよく購入します。中には(ホントか?)と疑うほど
笑顔が張り付いている場合もありますが…。
先生は…、そこを「うんちく」で攻めているところが
違います。
ガンコで笑わなそうで、正しいことは正しいんだ!と
鼻の穴から息がフーンッ!と出てそうな気配で、リンボウ
先生は彼なりの「家事の哲学」を説いています。
その哲学的な文章に、思わず恐れ入ったのは例えば以下の3つ。
①洗濯物や布団は干さない!
⇒「そんなものに大切な人生を浪費してはならない!」
とのこと。ざぶとん三枚!!!
②ワイシャツのアイロンがけは首と袖だけ!
⇒「1枚3分もあれば十分。生乾きでやれ!」とのこと。
全部をきっちり丁寧にやる必要は全く無いそうです。
③床を雑巾がけ?なにをやっているんだ!
⇒「やめなさいよ、そんなあほらしいこと!」とのこと。
すべてに理由とうんちくがこんこんと述べられているのですが
少なくとも私は上記3点に関する心理的圧迫感・強迫観念から
サッパリ逃れられました。エライぞ!先生!!
でも、こういう人(うんちくガンコオヤジ)は上司にも
お客さんにも少なくなってきました。
身内にいたらウザッタイかもしれませんが、年上の友人
としている分には、案外楽しいかもしれません。
主婦系雑誌に目が慣れてしまったときに効く一冊です。
『くりやのくりごと』~リンボウ先生 家事を論ず~
林 望著 集英社文庫 ¥457-
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